マイギター列伝⑤
’99 ギブソン Gibson EARLY J-45
ギブソン(Gibson)とは
ギター小僧のあこがれ、ギブソンとは
ギブソン社の創業は、楽器職人であったオーヴィル・ヘンリー・ギブソンが、1894年に、ミシガン州カラマズーでマンドリン製作を始めたことにさかのぼります。
以来、伝統の中にも変革を何度か起こし、そのなかでも1952年、レス・ポール氏との共同開発でソリッドエレキギターをレスポールモデルとして発売、最初期のエレクトリック・ギターを完成させ、現在でも憧れのブランドとなっています。
アコースティックギターではマーティン・ギブソン、エレキギターではフェンダー・ギブソンが誰もが認める2大巨頭ですが、どちらにも名を連ねているところがスゴイ!
アコギの巨頭、J-45
「J-45」のJは“ジャンボ”を表しており、シリーズの始まりは1934年に遡ります。J-35の後継・発展器として1942年にデビューし、現在に至ります。
“The Workhorse”というニックネームが与えられており、その名の通り泥臭く働き続けるギターとして、装飾は最小限にとどめたベーシックなギターといったコンセプトであったようです。
このクラシックな楽器の意匠を受け継いだヘッド、昔はコピーされまくっていました。現在はコピーにうるさくなってほぼなくなりましたが、やっぱりこの「Gibson」のロゴじゃないと締まりません!
Spec
・トップ:シトカスプルース単板
・バック&サイド:マホガニー単板
・ネック:マホガニー
・フィンガーボード:ローズウッド
・ネック幅:44.5mm
・チューニングペグ:クルーソン
・ブリッジ:ローズウッド
・弦長:ミディアムスケール
・フィニッシュ:ラッカー
ギブソンのアコースティックギターは
ギブソンは各楽器の仕様が時代によって、(その時の職人の気分も・・)タイヘンぶれやすいメーカーで、ネックがいきなり細くなったり、太くなったり、はたまたいきなりブリッジがプラスチックになったり、サドルがセラミックになったり、また戻ったり・・
よく言えば挑戦的、悪く言えば朝礼暮改・・
しかも、エレキギターの割合が多かったので、アコースティック部門は70年代に迷走を続けた末に、当初からのカラマズー工場は80年代に閉鎖され、アコースティックラインはしばらく生産していませんでした。(たしかに、80年代はシンセ、シンセしてるのがカッコよかった。それもすでにレトロになってますが💦)
しかし、心機一転、アコースティックラインの工場を1989年に現在のモンタナ州で再開します。
モンタナ工場製が以前のカラマズー工場製と同じものなのか・・・?といわれると、ギブソンのヴィンテージを体験したことがないのでわかりませんが、確かに良くも悪くもほかのメーカーとは一線を画した楽器であることは間違いありません。
ギブソンは製品のばらつきが大きいというのが定説なので、
もしも「やっぱギブソンかっこええなあ~」(←モロに当時の自分)としびれてしまってどうしても欲しくなったら、(気持ちはよくわかります)仕様をよく調べて、何本も試奏できる環境のお店に行くことをおススメいたします。
My J-45
それではお前は吟味して選んだのか・・
と言われると、地方在住の若造にそんなことがわかる訳もなく、ただただ衝動買いしてしまいました(バカ)。
後からわかったのですが、ワタシのは「EarlyJ-45」という品番で、1997年から2~3年の間、50年代のJ-45のいわゆる「なんちゃってレプリカ」としてつくられたもののようです。
現在たまに限定生産される、できるだけ当時の工法にこだわって・・ではなく、見た目と雰囲気だけ寄せてみました的な仕様のようです。
特徴は、スモールピックガード、気持ち広めの指板、クルーソンペグ・・などです。
その当時はそんないろいろな仕様があることすら知らず、「ビートルズが似たようなギター使ってたな」というようなノリでした。
実際のギブソンJ45は・・
個体差の大きいギブソンのこと、ワタシのインプレなぞあてになりませんが、まず気づいた点として、
・軽い!
いまだにワタシの数あるアコギの中でダントツに軽いです。当時は「さすが高級ギター、木が枯れてこんなに軽いんだ」と勝手にカンドーしていましたが、どんな高級ギター(同じマホガニー材でも)もこんなに軽いのはありません。材が薄いんでしょうか・・?
・独特のニオイがする
このギターだけが特殊な、甘ったるい匂いがします。新品で購入して20年以上経ちますが、いまだに香っています。塗装なのか、接着剤なのか・・。ケースのプラ臭が移らないように香料をふりかけてあるといった不思議なハナシさえあります。
・何とも言えない音・・
楽器としてはここが一番大事なところなのですが、コイツは気まぐれというか、鳴る日と鳴らない日があったりと生き物のようなギターです。決して華やかな音ではなく、ブルージーな感じでジャンルを限定しそうな音です。間違えてもソロギターを演奏するような音ではありません。高域がこもったような音なので、弾き語りの際に歌のジャマにならないようなカンジはします。
ギブソンのラッカーチェッキング
写真では目立ちませんが、右下に縦に塗装が割れているのが確認できるかと思います。
ギブソンは伝統的にラッカー塗装を用いており、利点として
・薄く塗れる、ゆえに振動を妨げない
・経年の変化で木と一体化する
・木が呼吸できる
などラッカー塗装がイチバン!みたいなことが昔から言われるのですが、ワタシの個体は新品購入した直後から割れる、割れる・・
途中から怖くなってケースにしまいっぱなしにしてもどんどんヒビが成長していく~(泣)というようなカンジでした。
流石にクレームが多かったのか、2010年代に塗料を替えたみたいで、現行品でそんな激しいラッカーチェックは見なくなりました。
ある楽器店のオーナーにきいたところ、クラプトンの「アンプラグド」の大ヒットで突然のブームがきて、90年代のギターは木材のシーズニングや塗装の乾燥が足りないまま出荷している感じがする・・と言ってました。
ワタシはリアルタイムで買いましたが、ブルースを弾くのにギブソンじゃなくてマーティン・・というのに衝撃を受けました。
近年のギブソンは割れないように塗装が柔らかくなった・・とか、下塗りがポリになってからは割れない・・とか、いろいろな説があります。
そういえば、ワタシの2011年のマーティンは全く大丈夫だ・・
なにせ、ラッカー塗装は、ゴム製のギタースタンドにかけておいたら塗装が溶けたり、扱いに気をつかうので、もしラッカー塗装のギターをお持ちでしたらお気をつけください。
ラッカー塗装のギターをお持ちで、スタンドがラッカー対応か不明な場合は、このようなもので対策することをおススメいたします。(包帯とかでもよいかとは思いますが)
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