マイギター列伝③ ’08ヘッドウェイHD-115SP
マイギター列伝③
’08ヘッドウェイHD-115SP
ヘッドウェイとは
マスタービルダー百瀬恭夫が1977年にスタートしたHeadway Guitarsは長野県に工場をかまえ、高品質なギターを生産していましたが、1983年に工場が火災に見舞われ、再建後はアコースティックギター冬の時代もあり、エレキギターのOEM生産などに活路を見出していました。
しかし、かのギターの生ける神、エリック・クラプトンの1992年の名作、『アンプラグド〜アコースティック・クラプトン』の大ヒットもあり、急速にアコースティック楽器の良さが見直されていく中、ついに1999年、HD-115の再生産を成し遂げ現在に至ります。
Spec
・トップ:アディロンダックスプルース単板
・バック&サイド:マダカスカルローズウッド単板
・ネック:ソリッドマホガニー
・フィンガーボード:エボニー
・ネック幅:44.5mm
・チューニングペグ:GOTOH 510
・ブリッジ:ローズウッド
・弦長:ロングスケール
・フィニッシュ:ウレタン
ヘッドウェイの高級ライン
このギターは出張で東京に行った際に、よせばいいのにふらふらとお茶の水のギターの海に泳ぎだした際に出会ってしまいました。
10万円台後半で中古品を購入したかと思うのですが、これほどの材を使用して、これはお買い得!と即決してしまいました。
現在のヘッドウェイの高級ラインは上から個人製作の「カスタムショップ」、えりすぐりの職人チームの「飛鳥TeamBuild」があるのですが、この当時はまだそのあたりが確立しておらず、定番生産品のHD-115のアップグレード限定のもののようです。
レギュラー品からのグレードアップ点は
・トップのシトカスプルース→アディロンダックスプルース
この頃から急にアディロンダックスプルースが高級材として認知、珍重されるようになりました。
もともとはマーチンが60年代中頃まで使っていた材で、第二次世界大戦時に航空機の部材として優先的に使ったせいで枯渇したようで、その後植林したものが育って使えるようになって流通しだしたとか・・
アディロンダックは割と木目の間隔が荒いのが多いのですが、これは割と詰まっているほうでしょうか・・
・サイド、バックのインドローズウッド→マダカスカルローズウッド
マーチンは60年代前半までギターにはブラジリアンローズウッドを使用していたのですが、枯渇してブラジル政府が輸出制限したので、その後はインド産が使われています。そのブラジル産の代替材として近似種のマダカスカル産のものが高級ラインに使われるようになりました。深い色が特徴で、総じてインド産より固めだとか・・
弾いてみて・・
ヘッドウェイは総じて音が硬めなのですが、こいつはブレイシングがノンスキャロップってこともあって、硬くて煌びやか・・というかんじでしょうか。
どうも作りがマジメすぎる・・というか、カッチリ感がすごいです。ネックの剛性感もスゴイ!
実は、マーチンのあの音の秘密はあまり剛性を持たせていないことにあるのではないかという気がします。だからこそトラブルも多いのですが、ちゃんと直せるように作ってあるという・・(金額も結構いたしますが)ギブソンに至ってはその上を行くラフさです。
ま、ワタシは硬めの音が好みなので、ウエルカム!なのですが、マーチンのフォーワードシフト&スキャロップブレイシングのを弾くと、またなんとも良いわけで・・
そうやってギター沼にハマっていくわけですね、ご用心、ご用心!
しかし、このお値段でこのクオリティー、音はスゴイものがあります。おそらくこの材で現在カスタムオーダーしたら大変な予算を考えなければならないでしょう。中古ギターの妙味ってヤツでしょうか・・
気になる点は・・
・塗りこみピックガード
本家マーチンも80年代にやめているのに、いまだにピックガードの上から塗装が・・
今のもそうなんだろうか?修理が大変そうです。
・ヘッド白濁
これゆえにお安めだったのかもしれませんが、ウレタン塗装に多い症状です。(しかも悪化していっているような)ま、音には関係しませんが。塗装自体は薄塗りで丁寧な仕事だと思います。
・ブランドの知名度
ヘッドウェイさんも、アーティストと契約して使ってもらうとかあんまりアザトイ商法をしないので、好感が持てるとともに、いつまでたっても知名度が地味なまま・・・なのですが、モノのクオリティは全般的に高いです。
ギターは最終的なナット・サドルの調整等細かいところの調整が大事なので、新品なら中国生産で日本で仕上げるというヘッドウェイユニバースなんか、よさげに感じますが・・(決して私はヘッドウェイの回し者ではございません)
コメント